建設業許可取得のポイント

要件その1 適切な経営体制

会社として、個人事業として、建設業の経営に携わった方が経営に関与する必要があります。
1.建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
建設業に関し「5年以上」、取締役、執行役、法人格のある各種組合の理事等、その他個人事業主又は支配人その他支店長、営業所長等、営業取引上対外的に責任を有する地位にあって経営業務の執行等建設業の経営経験について総合的に管理した経験を有する方が対象です。
建設業許可に関しては29種類の許可がありますが、その中のどの種類でも構いませんので「5年以上」の経営経験(取締役、執行役、組合の理事や支店長等としての経歴)を持っている方が役員としていらっしゃれば、この要件を満たします。
建設業法改正前の「経営業務管理責任者」に近いものです。

2.建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けたものに限る)として経営業務を管理した経験を有する者
例えば取締役会から建設業部門に関する業務執行権限を委任された執行役員等が該当します。
ただしこの執行役員制度は比較的大規模な会社を想定しているものです。

3.建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
経営業務の管理責任者に準ずる地位(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種組合の理事等、個人事業主又は支配人その他支店長、営業所長等、営業取引上対外的に責任を有する地位に次ぐ職制上の地位にある者)にあって、建設業に関する建設工事の施行に必要となる資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請け業者との契約の締結等の経営業務全般について従事した経験を言います。
いわば、「2」で言う方を補助する立場の方であり、例えば副支店長や副所長のような立場の方が該当します。

4.常勤役員等のうち1人が次のいずれかに該当する者であって、かつ財務管理の実務経験(許可を受けている建設業者にあっては当該建設業者、許可を受けようとする「建設業を営む者」にあっては当該「建設業を営む者」における5年以上の業務経験に限る。以下この「ロ」において同じ)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置く者であること。
①建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当する者に限る)としての経験を有する者。

大変分かりにくい要件ですが、要するに「3つの基準」があって、「基準その1」「基準その2」「基準その3」を順番にクリアすることで建設業許可上の「常勤役員」となれるという考え方です。

  • 基準その1・・・5年以上建設業の役員に次ぐ地位「以上」にあること
  • 基準その2・・・そのうち役員経験が2年以上あること
  • 基準その3・・・財務管理、労務管理、業務運営について5年以上の業務経験を持つ方が常勤役員を補佐する。(財務管理、労務管理、業務運営それぞれ1名でも構いませんし、すべての経験があるのであれば1名でも構いません)

②5年以上役員等としての経験を有し、かつ建設業に関し2年以上の役員等としての経験を有する者。

大変分かりにくい要件ですが、要するに「3つの基準」があって、「基準その1」「基準その2」「基準その3」を順番にクリアすることで建設業許可上の「常勤役員」となれるという考え方です。

  • 基準その1・・・建設業に限定することなく役員経験が5年以上あること
  • 基準その2・・・そのうち建設業の役員経験が2年以上あること
  • 基準その3・・・財務管理、労務管理、業務運営について5年以上の業務経験を持つ方が常勤役員を補佐する。(財務管理、労務管理、業務運営それぞれ1名でも構いませんし、すべての経験があるのであれば1名でも構いません)

5.国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の経営体制を有すると認定した者

要件その1をクリアする為の確認資料

許可申請をするには、上記のような要件を、ただ申請書に書いたり、口頭で説明すればいい訳ではなく、それを証拠づける為の確認資料、根拠となる資料を添付する必要があります。
例えば、「建設会社の役員として、過去5年の経験がある」といっても、それを裏付ける資料が提出できなければ、申請は受付けてもらえないのです。
建設業許可の難しさはここにあります。

その人自身の存在の確認

住民票、又は運転免許証の写しの提出が必要となります。
現住所と住民票、運転免許証が違う、という場合は、何らかの追加書類を求められる可能性が高いです。

常勤性の確認

常勤役員等は常勤であることが要件ですので、役員として「名前だけ」を借りる、というようなことはできませんし、許されません。 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写しや、過去の確定申告書(必ず税務署の受理印か、受信確認があることが必要)等の提出が必要となります。

役職名と経験年数の確認

一番重要であり、かつ書類の準備が難しいところです。ここを証明できるか否かが、許可取得を大きく左右します。

ア 過去の個人事業としての経験を証明する場合

該当年数(5年)分の、過去の「工事請負契約書」の写しの提出が必要となります。

概ね、4半期に1件ペース分の工事請負契約書が提出できれば、証明可能です。 但し、当然ながら、工事請負契約書は「発注者名と、押印」「受注者(許可申請をするみなさん自身)名と、押印」「工事名」「工期」「請負金額」等が、明確にされている必要があります。
工事請負契約書が要件を満たせない、そもそも工事請負契約書がない、というような場合は、やむを得ませんので、発注書や請求書等で、1つづつ証明していったり、場合によっては発注者に証明書を出してもらうなど、いくつかの方法があります。
言い換えれば、「工事請負契約書」が準備できないからと言って、諦める必要はない、ということです。

イ 建設会社の役員としての経験を証明する場合

該当年数(5年)分の役員としての経験が、本当に建設業を行っている会社としてのものなのかを確認されます。
役員として経験を有する会社が「建設業許可を持っていない建設会社」の場合、考え方は上記の個人事業としての経験の場合と同じです。その会社の5年~7年分の「工事請負契約書」で証明していくことになります。
役員として経験を有する会社が「建設業許可業者」である場合は、その会社が毎年自治体に報告している「決算変更届」(※この「決算変更届」は、建設業許可業者であれば必ず提出しなければならない書類です)の該当部分の写しを5年分提出することで、証明が可能です。

要件2 専任技術者

経営業務の管理責任者の要件が満たせたら、次は専任技術者です。
営業所ごと、許可取得する業種ごとに、専任の技術者が必要となるわけです。
一般的には、業種ごとに定められた資格を有する方が専任技術者となることができます。
例えば、1級又は2級の土木施工管理技士の資格を持っていれば、「土木」「とび・土工」「ほ装」等、1級又は2級建築士の資格を持っていれば、「建築」「大工」「内装」等というように、一定の資格で一定の業種の専任技術者になれます。
一つの資格で複数の業種の専任技術者になることも可能ですし、経営業務の管理責任者が専任技術者になることも可能です。
「資格」は、その他にも、「職業能力開発促進法」「技術士法」「電気工事士法」等に基づく資格でも構いません。
ただし、この場合、資格によっては1年~5年の実務経験を必要とする場合があります。

資格者が確保できない、という場合でも、諦めるのは早いです。「10年以上の実務経験」があれば、専任技術者になることが可能だからです。

要件2をクリアする為の確認資料

その人自身の存在の確認

住民票、又は運転免許証の写しの提出が必要となります。
現住所と住民票、運転免許証が違う、という場合は、何らかの追加書類を求められる可能性が高いです。

常勤性の確認

専任技術者も常勤であることが要件ですので、資格者として「名前だけ」借りる、ということはできません。
健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し等の提出が必要となります。

実務経験の確認

一定の資格の場合は1年~5年の、資格がない場合は10年以上の「実務経験の確認資料」を提出する必要があります。

ア 証明者が建設業許可を有していない場合

経営業務の管理責任者の場合と同様、必要期間分の「工事請負契約書」の写しを提出する必要があります。
ただし、経営業務の管理責任者の場合は、概ね4半期に1件という考え方がありますが、専任技術者の場合は、「1年につき12か月分の工期」を証明する必要があります。技術者である以上、毎月何らかの工事に携わっていたことが求められるわけです。
10年の実務経験を証明するのであれば、「120ヶ月」の工期を満たす必要があるわけです。

イ 証明者が建設業許可を有している場合

必要期間分の「決算変更届」の写しを提出します。

実務経験期間中、本当に常勤していたかの確認

専任技術者で実務経験を証明する場合は、実務経験の証明では足りず、「実務経験期間中に本当にその会社に勤務していたか」まで確認されます。(逆にいえば、実務経験を必要としない資格、例えば土木施工管理技士や建築士等は、この点の証明は不要です。) 「厚生年金加入期間証明書」「健康保険厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し(期間分)」等を提出します。